ミニ講話 宮司のいい話
NO.195  思いやり
     「思いやりがある」とか「思いやりがない」とか良く言います。私も女房からよく言われます。「優しいけれど思いやりがない」と。さて思いやりとはどのようなものか? 自分自身を振り返りながら考えてみたいと思います。

     「思いやり」ってどういうことなのかなぁと考えますと、相手の気持ちや立場にたって考えてやること。あるいは、相手が苦しんでいたり、悲しみを感じている時に、その人の身になって共に苦しんだり、悲しんであげることが思いやりであろうかなーと思います。

     その点、私の女房は非常に思いやりのある人だと思います。だいぶ前になりますが、女房の友達の御主人が事故で亡くなってしまったのです。訃報を聞いた女房は早速友達の家に駆けつけました。それからが大変です。泣いてばかりいるのです。食欲もなく、だんだんと元気がなくなって、やつれていくのです。

     「突然御主人をなくしてしまった友達のことを考えるとかわいそうで、かわいそうで涙が止まらないし、何も食べたくない」と言うのです。

     二、三日様子を見ていましたが、一向に泣き止まず、めそめそしているのです。そこで私が言うのです。「あんたがいくら悲しんでも、泣いても、死んだ人が生き返ってくる訳でもないし、友達の身代わりになれる訳でもないんだから、どうにもならないことはあきらめて、自分の気持ちを切り替えなければダメだ。そんなに悲しんで自分が病気にでもなったら馬鹿だベサー」

     一言多かったみたいで「あんたは、思いやりがない」と反論されます。私はどうしても理屈で考えてしまう訳です。例えば、子どもが走って行こうとする。私は「走ったら危ないよ」と注意をする。だけど子どもは走って転んでしまった。私は駆け寄って「だから言ったでしょう」と怒る。でも女房は違うんですよね。「大丈夫かい」と声を掛けていたわる。この違いが思いやりがないと言われる由縁かなーと思います。

     私は「だから言ったでしょう」とか「自業自得だよ」とか「そんなことをしているもの困るのは当たり前でしょう」とか「自分のせいでしょう」等と同情するよりも、理屈を考えてしまう。

     私も色々と反省しますが、私なりに考えるには、思いやりとは、理屈や常識を抜きにして、とにかく今苦しんでいる人、今困っている人の立場に立って考えたり、同情したり、手を差し延べてあげる、これが思いやりかなーと思います。

     私もそうですが、人は苦しんでいる時、悲しんでいる時、さびしい時、困っている時に、本当にやさしくされると、相手が神様のように見えてきます。自分のせいで自分が勝手に困ったり、苦しんだりしているのに、相手はやさしく同情してくれる。そんな時、人の心の温かさがひしひしと有難く感じられるものです。そして心がいやされて、又頑張ろうと思う元気が出てくるのです。

     そのような経験をすると「人間は一人では生きていけない」そんな実感がわいてくるのです。

     「思いやり」と同じような意味に、「やさしさ」とか「なさけ」とか、「親切」等の言葉があります。いずれも、自分の損得とか打算に関係なく、相手のことだけを思いやる心を表現された言葉だと思います。

     私は再び女房に言われる言葉をかみしめてみます。「あなたはやさしいけれど思いやりがない」。私には損得、打算はないけれど、理屈と常識で割り切ってしまう傾向があるようです。だから、手放しで相手の気持ちや立場に立って考えてやることができない時があるのです。

     本当に苦しんでいる人、悲しんでいる人の心をいやし、励ますためには、何も考えずに、その人の気持ちになってあげることが大切だなーと思います。

     世の中には、法律や規則や常識があります。又、力の限界や世間体や、見栄もあります。しかし、そんなものに一切とらわれない、人間の本能としてのやさしさ、思いやりの心が誰にでもあると思うのです。

     その本能こそが「愛情」であると思います。

     夫婦や親子や恋人、あるいは動物や植物に愛情を傾けます。人間として素晴らしい心の表れが愛情であると思います。愛情には、理屈も打算も道理も何もありません。

     「相手をいとおしく思う」ただそれだけです。そんな純粋な心、愛情を掛けてもらうことによって、人は立ち直り、再び生きようとする元気が出てくるのだと思います。

     ありきたりの言葉になってしまいますが、やはり、愛が人を救い、地球を救っていくのだナーと実感してきました。これからは、純粋な心で相手をいとおしく思う心を自分の心に広めていきたいと思います。

     そうすれば、女房からも「思いやりがない」と言われなくなっていくと思います。今回は自分の反省で終わってしまいました。


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