ミニ講話 宮司のいい話
NO.150  徳を下げない五つの秘訣
     皆さんは、これから社会に出て、色々な苦労をしながら自分の人生を築いていかなければなりません。あるいはすでに、社会人として活躍されているかも知れません。

     日々を自分のできる範囲で一所懸命努力して頑張って生きていく。そうした努力の積み重ねが、自分の徳として周りの人達から評価されていくのです。徳は、損得の得ではなく、道徳の徳、人徳の徳です。

     しかし、せっかく積み重ねてきた徳をちょっとしたことから崩してしまうことも度々あります。今回は積み重ねた自分の徳を下げない、くずさないための五つの心掛けについて考えてみます。

     一つ目は、「愚痴を言わず、与えられた仕事を一所懸命にやる」ということ。

     与えられた仕事とは、一生涯続ける仕事であれ、一時の仕事であれ、人に頼まれたちょっとした用事であれ、汚い仕事、嫌な仕事であれ、自分がする仕事であるならば、それはすべて自分の仕事として、不平不満を言わずに一所懸命することです。嫌々していたり、「どうして自分がこんなことをしなければならないのだ」と愚痴をこぼしたりすると、せっかく一所懸命した仕事でも値打ちを落としてしまいます。

     「人の嫌がる仕事をあの人は一所懸命する人だなー」とか、「人が見ていようが見ていなかろうが、一所懸命働く人だなー」と周りの人が評価してくれても、ちょっとしたことで、嫌々している態度が目に入ったり、一言言った愚痴を聞かれたりすると、「何だこの人は一所懸命やってるように見えたけど嫌々やっているんだ」と思われたならば、せっかく努力した仕事が評価されなくなります。ですから、どんな嫌な仕事でも、腹の立つ仕事でも、自分が引き受けた以上、これは自分を鍛えるために神様が与えてくださった修行だ、と思って行えば愚痴は出てきません。愚痴を言わずに行う仕事は、どんなささやかな仕事でも、徳として積み重なっていくのです。

     二つ目は、「悪口を言わない、聞かない」ということ。

     人の悪口を言わないようにすることは、自分が気を付ければできることですが、悪口を聞かないということは難しいことです。人が集まれば、中には他の人の悪口を言う人がいるものです。輪になって話せばどうしても聞いてしまいます。しかし、「そう、そう」と相槌を打ったり、同調したりしないで、「そうかい」ぐらいに返事をしておけば、悪口を聞かないことになります。自分が直接悪口を言わなくても相手に同意したのでは、「あの人も言っていたよ」と、同じように取られかねません。

     人の悪口を言うと、「あの人は人の悪口を言うのが好きだから、気をつけなきゃ」と、逆に自分が言われてしまいます。本人に対しての忠告は悪口ではありませんが、陰口や悪口を言うことは、巡り巡って自分の徳を崩してしまうことになるのです。

     三つ目は、「立場上の差はあっても、公私混同をしていばらない」ということ。

     これは特に、上司や経営者など、人を使う立場になった時に気を付けなければなりません。会社内では立場上、部下を命令調で使い、あるいは怒鳴ることがあっても、一旦仕事の立場から外れると、お互いそれぞれの人格を持った人間同士となります。それを公私混同して、自分が偉くなったような気がして、仕事以外で個人的な立場になった時でも、上から見下ろすような態度や言葉遣いをしていたのでは「あの人はいつも威張っている」とか「自分を人として見ていない」等の不平不満がわき出てきます。ですから、時と場所によって立場が変わったならば、相手に対しての態度も変わらなければ、人徳を下げてしまうことになるのです。

     四つ目は、「お金はきれいに支払う」ということです。

     どうせ支払わなければならないお金なら、相手に喜んでもらえるような支払い方をすることです。それが生きたお金の使い方となるのです。催促を何回もされてようやく支払うようでは「あの人は金払いが悪い」と思われます。集金に来られた人に直接支払うような時にも、面倒臭い態度を取ったり、「持って行け」と言わんばかりの態度で支払うと相手は気分悪く帰って行きます。しかし「ご苦労さん」と笑顔で支払うと相手も自分も気持ちよく支払えます。相手が喜んでくれた分だけ自分が得したことになり、生きたお金の使い方となってきます。

     又、支払の期限があるならば、期限内に支払うように心掛けましょう。しかし、どうしても期限内に支払いができない場合は、期限が過ぎない前に、支払いが遅れることを連絡すると相手は安心します。金銭のトラブルから、親しい間柄が気まずくなってしまうことはたくさんあります。「申し訳ないけど、まだ払えないので、いついつ迄待って欲しい」と、一寸した誠意の一言があるかないかで人間関係を気まずくさせないで済むのです。

     「金の貸借不和の基」ということわざがあります。なまじっか親しい間柄で情がからむと、貸した方も借りた方も気まずくなって不和を生むということですが、親しいからこそ大切なお金を貸してくれるのです。きれいな支払い方をすれば一層信頼関係を深めることになっていくでしょう。お金の支払い方一つにも、徳を上げたり下げたりすることになるのです。

     最後は、「人の苦しみを自分の苦しみとして受け止めてあげる」ということ。

     気の向いた人の相談には真剣に乗っても、気の向かない人の相談には、冷たくあしらうという人がいます。相談してくる人は、この人ならば自分の苦しみを理解してくれるだろう、親身に相談に乗ってくれるだろうと、信頼して相談してくるのです。そうした信頼に応えることなく、損得を考え、人を見て態度を変えるのでは、その人の人徳が疑われてきます。裏表のない、人の苦しみを自分の苦しみとして受止められる優しさ、思いやりを持つことが自分自身の心を大きくしていきます。人を見て態度を変えることは器量の狭さをあらわしてしまい、人徳を下げてしまうのです。

     人徳を下げない、或いは、人徳を高める道は、自分のためにではなく、人のために何ができるかをよくよく考え、日々実践していくことです。これからの人生の参考にしてください。


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