ミニ講話 宮司のいい話
NO.139  家族との出会い
     平成十一年に大阪で大学一年生の子どもが母親を包丁で刺し殺し、十四歳の弟と父親にも重傷を負わせるという事件がありました。更に、その大学生の交際相手の高校一年生の女子生徒も、自分の両親を殺そうと計画して、包丁を買っていたので、殺人予備容疑で逮捕されました。

     二人は家族に特別な恨みはなく、ただ二人で暮らすのに邪魔だった。二人でしばらく暮らしたあと、二人で自殺するつもりだった。死ぬ前に人を殺してみたくなった。だから、スケジュールや寝る時間もわかる、一番身近な、やりやすい家族を殺した。と大学生は警察に供述しているのです。

     何も恨みもないのに殺人の対象として家族を殺してしまう。自分を一番守ってくれる大切な家族を、自己中心的な考えから殺してしまう。なんとも悲しく、おそろしい事件です。

     他にも、子どもが親を殺してしまう事件はたくさんあります。又、幼児虐待など親が我が子を殺してしまう事件もたくさんあります。

     どうして、このようなおそろしい事件がたくさん起きているのでしょうか。「家庭」という字は、家と庭と書きます。庭は家の内部という意味です。ですから「家庭」とは、生活を共にする、家族の集まる場所の意味です。現在の世の中は、家族が集まり生活を共にしていますが、それぞれが自分勝手な考えを持ち、家族の心がバラバラになってしまっているのではないでしょうか。

     家庭がたくさん集まって社会ができます。社会が大きくなって国となります。家庭がバラバラでは、社会も国もバラバラになってしまいます。自分だけが良ければいい、他人はどうでもいいという、思いやりのない、さびしい社会や国になってしまいます。

     大切なのは「家族を思う心」です。自分が大きくなって、気が付いた時には、口うるさい父親と母親がいて、ケンカの絶えない生意気な兄弟がいる。これが家族なんだから仕方がない。自分がもっともっと大きくなって、独立できるようになったら、こんなうるさい家は一日も早く出て行きたい。親は勝手に子どもを産んだのだから、育てるのは当たり前。こんな風に思っていたら、家族の心はいつまでもすれ違いで、バラバラです。

     家族は知り合いの集まりではありません。もっともっと不思議なめぐり合わせ、神秘的な出会いによって生まれた、この世に一つしかない大切なものなのです。

     自分はどうして生まれたと思います?
     父親と母親がセックスしたから自分が生まれたと思うでしょう。しかし、それだけではあなたは生まれていない。いや、生まれてこられなかったのです。

     妊娠するときは、男から一億の精子が出るでしょう。女性の卵子はたったの一個です。それに向かって精子は死にもの狂いで突進していきます。わずか何センチの女性の膣の間に、一億出た精子が子宮にたどり着いたときには五千に減ってしまいます。なんと、九十九パーセント以上の精子は死んでしまうのです。女性の膣というのはそういう厳しい状態になっているのです。

     それに耐えられない弱い精子は皆死んでしまうのです。そして五千匹がやっと子宮に入ります。しかし、卵巣というのは二つあって、排卵したほうに卵子があります。それが分らないで反対側の卵巣に行った精子はみんな死んでしまいます。うまく卵子とめぐり会った精子も、受精できるのはたった一匹だけです。それも、気に入られてはじめて卵子から特殊なホルモンが出て、それに引き寄せられて、スーッと卵子に入って受精することができるのです。だけど、それでもだめだったら妊娠しないのです。

     この世に生まれるということは、一億から選ばれたのです。奇跡的に自分が生まれたのです。そして子どもは親を選んで生まれてくることはできません。親も又、子どもを選んで生むことはできないのです。なんと不思議な、なんと神秘的なめぐり合わせによって、私達は家族として出会うことができたのです。

     兄や姉、弟や妹も皆一億から選ばれてこの世に生まれ、そして家族としてめぐり会うことができたのです。父親と母親がセックスしたから自分が生まれた。そんな簡単なものではないのです。

     一億の中から選ばれた自分なのです。もっともっと自分を大切に考えなくてはいけません。そしてこの世の中に一人しかいない、血のつながった父親、母親、兄弟そして、おじいちゃん、おばあちゃんとの家族としての出会いを大切に考えなくてはいけません。世界中どこを捜しても自分の家族は外に居ないのです。奇跡的な出会いによって家族となったのです。

     家族には特別なつながりがあるのです。家族の一人一人が家族を大切に考えたならば、家族の心はバラバラにはなりません。家族を愛する心は、人間としての基本的な心です。家族を愛する心を忘れて、自分だけよければいいという自分勝手な心が、大切な家族を殺してしまうおそろしい事件となってしまうのです。

     もう一度考えてください。あなたはダメ人間でも、ついていない人間でもないのです。そんな人はいないのです。一億から選ばれて、この世に出てきたのです。自信を持ってください。そして、不思議な出会いの家族を大切に考えてください。

     そしてあなたの友達にも愛されている家族がいます。だから、あなたも友達を大切にしてあげてください。そうすれば、世界中の人が仲良くできます。家族を愛する心は、人間として基本的な心なのです。

    参考:葉室頼昭著「神道 見えないものの力」春秋社



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